般若心経と私

2018年12月発行  色不異空  空不異色  色即是空  空即是色          【色は空に異ならず、空は色に異ならず、             色は即ちこれ空、空は即ちこれ色】      色は「形ある物」と一般に説明されていますが、私は色を「我」と受け止めます。  &nb […]

鯖街道「針畑越え」の見所 Ⅲ【針畑峠】

2018年11月発行 若狭上根来(小浜市)から近江小入谷(高島市)へ越す古道根来坂は、最近鯖街道の一ルートとして 広く市民に親しまれるようになってきた。この坂のピークに位置するのが針畑峠( 835m )で、 元亀元年(1570年)、越前朝倉攻めの織田信長に従った徳川家康が この峠を越えて京へ帰陣したことが伝えられている(若狭国史)。  この峠へ行くには、上根来林道を八合目当たり […]

夕庭のいづこに立ちてたづぬべき 葡萄つむ手に歌ありし君

2018年10月発行   夕庭のいづこに立ちてたづぬべき  葡萄つむ手に歌ありし君             山川登美子『恋衣』  明治時代の女流歌人、山川登美子は数え歳二十三歳で結婚しました。 夫は将来を嘱望され、幸福が約束されたかのようでしたが、 登美子は二年経たないうちに夫を病気で亡くしてしまいました。  当時の既婚の女性は、自由に好きな事ができたわけではありませんでした。 […]

クズの葉は昼寝する!?

2018年9月発行 『万葉集(1537)』の巻8に、山上憶良は      「秋の野に 咲きたる花を 指折りて かき数ふれば                          七種の花 萩の花 尾花 葛花 撫子が花女郎花また藤袴 朝顔の花」 と秋の七草を詠んだ。  その中の「葛花」がクズで、全国いたるところで見られるつる性の多年草です。 8~9月頃、ほのかな香りのある赤紫色の花を […]

二条院讃岐のことなど

2018年8月発行  かつて二条院讃岐(にじょういんのさぬき)は、 生没年もよく分からず、別人と混同されていたりして、 不明の部分が多かったのであるが、 歴史の第一級資料である九条兼実(後法性寺関白)の日記 『玉葉』を紐解くとそこには、公私にわたる記録として、 その記述が長寛二年(1164)から正治二年(1200)に及んでいる。 この時期は、奇しくも院政から武家政治へと政治体制 […]

二通の手紙

2018年7月発行  中学校の級友阿万忠之君に逢った最後は、昭和三十年小浜中学校に建った 円嶺先生の句碑除幕の日ではなかったかと思う。その後忠之君は立派な医者となり、 一時小浜の逓信診察所長をされていたが逢う機会はなかった。東京で開業されたが、 それらのこと、以後のこと総て年賀状で知るほかなくなり、 医師もやめられ京都西ノ京に移られている近況も頂いた賀状により 頭にとめているに […]

コウノトリの郷づくり

2018年7月発行  小浜市国富地区に営巣していた特別天然記念物・コウノトリが、 最後に姿を消したのは昭和四十一年でした。 高度経済成長に伴い、 農業の近代化のもと大型圃場整備や農薬散布などによる、 生息地域の環境悪化が原因とされています。   国富地区では、もう一度昔のように人と生き物が ともに暮らせる自然豊かな郷をめざし、 平成二十三年五月官民協力により コウノトリの郷づく […]

池河内の阿弥陀堂

2018年6月発行  池河内の集落センター脇に阿弥陀堂があり、 一・七メートルほどの阿弥陀立像が安置されています。  若狭歴史博物館の専門家のお話では、 平安末期に造られた檜木の一木彫りの秀作とのことです。  平安時代の末期、疫病の流行や源平の戦いによる混乱や、 釈迦が没して二千年を過ぎると仏教の教えが廃れてしまうという 末法思想の流行のなかで、 人々を極楽浄土に導い […]

水上勉の文学碑建設

2018年5月発行 仏教は多分六世紀の初めに、百済から海を越えてここ若狭から都にむかったのだと思われます。 若狭にはお釈迦様のお悟りの体験を最も基礎に据えた仏教の教えが息づいています。 今から五十年ほど前に、郷土史家永江秀雄さんと一緒に天徳寺を訪れた水上勉は、 「枝の混んだ杉、檜の木もれ陽の中で、静かに正座しておられる石仏をみていると、暗い奥山だけに幽邃である。  天 […]

鯖の食文化

2018年4月発行  若狭おばまでは、江戸時代中頃から昭和まで、 大漁の鯖が獲れました。今でも、各家庭や地域で、 鯖の食文化が根付いています。  中でも焼き鯖は、各地のお祭りで、 赤飯と共に欠かせない食として食べたり、 地域外の親戚に配ったりする文化があります。 小浜市新保区には、「なまぐさ汁」といって、 焼き鯖とネギなど貝をたくさん入れた、すまし汁の伝承料理があります。 名前 […]

佐久間勉艇長の教科書

2018年4月発行   明治四十三年四月十五日、殉難後の遺品整理の中で発見された、 小さな黒表紙にしたためられた「佐久間艇長遺言」  「小官ノ不注意ニヨリ 陛下ノ艇ヲ沈メ部下ヲ殺ス誠ニ申訳無シ、 サレド艇員一同死ニ至ルマデ 皆ヨクソノ職ヲ守リ沈着ニ事ニ処セリ・・・・・・・」 この一字、一行、一文には沈着にして冷静、 しかも最後まで最善を尽くした佐久間勉精神が躍如として輝いている […]

未来に伝えたい鳥浜貝塚と水月湖年縞

2018年3月発行  若狭町鳥浜に所在する縄文時代の遺跡、鳥浜貝塚は、 一九六二~一九八六年にかけて発掘調査が行われました。 「縄文のタイムカプセル」と呼ばれ、 小学校六年生の社会科教科書に掲載されました。 この遺跡調査をきっかけにして、一九九一年にもう一つ、 新しい発見がありました。三方五湖最大の湖、 水月湖の湖底に眠る「年縞(ねんこう)」です。  年縞は七万年に及ぶ「地質学 […]

円相の話

2018年2月発行  円相で真理を表現することは、中国唐代の南陽慧忠(なんようえちゅう ?~七七五年) 国師に始まるとされる。 三世十方世界に満ちている、真如、実相、仏性、法性、などと呼ばれる絶対の真理を、一つ の円で表現したものが、円相(えんそう)とか一円相(いちえんそう)と呼ばれるものである。  信心銘に「円かなること太虚に同じ、欠くることなく余ることなし」とある一切皆空の […]

世代交代と伝統文化

2018年1月発行 おおい町大島宮留地区の勧請縄と勧請板 (撮影者 須川建美)   ウチの寺があるおおい町大島地区は、 他所よりも割と早くに家の世代交代をする風習があり、 家の事情にもよりますが、息子や婿がいる場合、 戸主(家長)が七十歳くらいには交代します。  世代交代の早さは、伝統文化の継承と関りがあるように思います。  ところで小浜市には正月に有名な「勧請縄」という行事が […]

人生のはじまりと終わり

2018年1月発行   江戸時代小浜城下の産土神であった千種二丁目の廣嶺神社の鳥居の脇に、 一対の狛犬が置かれています。一方は口を開き、 片方は口を閉じおなじみの阿吽の形をしています。  これは一切の文字・音声の根本で、阿をすべてのもののはじめ、 吽を終わりとし、完結を表すものであるとされています。  人間に置き換えると、生まれ落ちてから寿命が尽きるまでの、 人生のはじまりと終 […]