第61回(平成28年11月)入選作品

おとうさんきてくれたんだにゅうがくしき        せんせいみながらさんどもみたよ 小学校一年生 時岡 千昌 寸 評 とても緊張する入学式の場面でお父さんを見つけた驚きとよろこび。 私は新一年生のがんばりと、初々しさに胸がキュンとなりました。 親子の絆を感じる作品です。 笑った波おこっている波やさしい波        いろんな波は人間みたい 小学校六年生 浦谷 理恵子 寸 評 […]

第60回作品

細き枝にもこもこ花芽付き出でて花蘇芳の木は春を灯せり 小浜市 塩谷 トミ子 寸 評 花はな蘇芳ずおうの花芽の様子を「もこもこ」と表現され、その豊かさや愛らしさ ともにそこに春をみつけた作者のよろこびが伝わってきます。 ほのぼのとしたこの一首の雰囲気に惹かれました。 子には子の夫には夫の思ひありて我はその場をおろおろ歩く 小浜市 加納 暢子 寸 評  父と子各々の言い分に一理あり […]

第59回作品

軒下にふくら雀の一羽きてまた一羽きて雪降りつづく 小浜市 玉井 令子 寸 評 何気ない日常の中に見つけた景をありのままにシンプルに 詠まれたところが魅力的です。作者のやさしい眼差しによって 詩情ある作品が生まれました。 山寺の石段登り振り向けば道の幅だけ海の見えたり 小浜市 竹村 祐美子 寸 評  山寺へと急峻な石段を昇る作者。海の広さを「道の幅だけ」と 捉えたことでこの一首が […]

第58回作品

生と死はつながりをりて産小屋の隣に村の墓地のありたり 小浜市東勢 杉崎 康代 寸 評 人間の生と死の象徴である産小屋と墓地を作者にぐっと引きつけて 詠まれており、一から二句に実感が籠ります。素材自体にインパクト があり「つながりをり」と捉えたところにこの作品の妙があります。 鯨尺を取出し女孫に話したり用途のことを曽祖母のこと 小浜市上中井 古谷 智子 寸 評  鯨尺についてお孫 […]

第57回作品

聞こえくる島唄吾れも口ずさむ奄美の風の頬に爽やか 小浜市千種 平田 卿子 寸 評 やさしいことばでリズムよく歌われています。抒情豊かで さわやかな気分にさせてくれるところに魅力を感じます。 考へぬ葦もよからう昼ひなかりんごの皮をながながとむく 小浜市清滝 田所 芳子 寸 評  「考える葦」を逆転の発想で詠んだところに作者の深い思いがあります。 考えぬこと善しとして自身を納得させ […]

第56回入選作品

雑草の中に昼顔凜と咲く暑い盛りだ俺も真似たい 小浜市遠敷 川嶋 和雄 寸 評 夏の暑さに強い昼顔にあやかって酷暑を乗り切りたい作者。 下の句の口語にリアリティーがあり説得力を持つ。 ユーモラスの中に哀感もあり作者独特の世界を醸している。 主なき廃墟の庭に今年また露に濡れつつ紫陽花の咲く 小浜市城内 加地 弘忠 寸 評  雨に咲く紫陽花は美しさがきわ立つが、廃屋の庭では かえって […]

第55回入選作品

手に持てば崩れむとする封筒に 亡父の墨文字生きるごとくに 小浜市下田 小堂 裕子 【寸 評】 崩れる程に脆くなった封筒と生気ののこる墨文字との対比。 作者はその筆跡に在りし日の父と再会したような思いを募らせる。 味わいのある作品。 声もたぬ木の悲しみを児童らは      民話の劇に演じてゐたり 小浜市東勢 杉崎 康代 【寸 評】  民話劇という題材がユニークであり、初句・二句に […]

第54回入選作品

盂蘭盆の六斎念仏舞ふを見る       母の眼(まなこ)は息子(こ)より離れず 小浜市下田 東 紀子 【寸 評】 六斎念仏は先祖を供養する念仏踊り。息子さんの所作に 見入るお母さんの描写がインパクトをもって伝わってきます。 そうしたお母さんの姿を通して大切な役目を担っている 家族(夫)の成功を祈る作者の思いが読みとれます。 男の子より祝ひくれたる木の湯呑           木 […]

第53回入選作品(平成26年秋の部)

もう少し夏の匂ひが強かった         昭和の頃の胡瓜の浅漬け 小浜市堅海 領家 公子 【寸 評 】 「夏の匂ひ」を結句「胡瓜の浅漬け」と捉えられたところに 作者のこまやかな感性が光るさわやかな一首となっています。 物言ひのつねに優しき夫なるに         咽喉病む今は目で吾を呼ぶ 小浜市山手 加納 暢子 【寸 評】 結句の「目で吾を呼ぶ」に夫婦の強い絆を感じます。 夫 […]

第52回入選作品(平成26年春の部)

此の年は雪降ることの無くすぎて         九十才の坂もたやすき 若狭町上野木 藤井 敏子 寸評 淡々と詠まれていますが、下句に九十年を生き抜いてこられた作者の思いに深いあじわいがあります。何よりも老いに向きあう明るさがよいですね。これからもお元気で。 寒行の異國の僧の太き声         波あらき海辺を遠のきてゆく 小浜市下田 小堂 裕子 寸評  厳しい行に励む僧の様 […]

第51回入選作品(平成26年冬の部)

仁王像にらみし口の開きたる        弥陀を守りて今声上げむ おおい町岡田 堀口 寿々喜 寸評 仁王像の鋭い形相がわかりやすくうたわれ臨場感のある作品。 着眼がよく、第四句から作者の深い信仰の心がよみとれます。 部活動これから始まる新体制             心を一つに深まる絆 小浜中学校二年 畠中 茉耶 寸評 副部長となってクラブをまとめていくことになった作者の思いが […]

第50回入選作品(平成25年10月)

夢にすら会へぬが儘の征きし文      慕ひ続けて古稀を迎ふる 小浜市飯盛 古谷 擴子 寸評                          子としての素直な心情が切々と伝わって来ます。特に下の句の 「慕ひ続けて」に長い歳月の痛い程の一念が感じられます。 余情ある一首。 生きてるぞと一番鴉の声を聞き      よいしょとばかりに膝立て起きぬ 小浜市駅前町 津田 條榮 寸評  […]

第49回入選作品(平成25年8月)

潮騒の近く聞こゆるこの町で      終の住処をオアシスと言ふ 小浜市雲浜オアシス内 坂下 富子 寸評 安住の終の棲家へ辿りついた安堵や覚悟の中に一抹の淋しさが読みとれます。そんな作者の気持ちを波の音が日々慰めてくれるのです。 のどかなりし若狭の里は変はりゆき        高速道の青田をわたる 小浜市山手一丁目 池上 千代子 寸評 変わりゆくふる里の景を詠まれました。開発と懐 […]

第48回入選作品(平成25年7月)

衿正し心経となふ朝夕の        吾の習はし百寿の今日も 小浜市広峰 橋本 ハル子 寸評                          心の糧として心経を誦える日々。迎えた百寿の今日も淡々と日課をこなされている。 作者の穏やかで平和な日常が感じられます。 友の詠みし想ひも深き姑の歌      今宵静かに和紙にしたたむ 小浜市雲浜 奥城 芙美代 寸評            […]

第47回入選作品(平成25年6月)

立波の瓦に止まる鳶一羽      鋭き眼差しは干し魚にあり 小浜市阿納尻 倉谷 千恵子 寸評                          空から獲物を見つけた鳶が屋根の上より干し魚に集中するさまに生き物のエネルギーが感じられます。   茅葺きの納屋に夜なべの稲を扱く       ランプの灯りに母の背丸し 小浜市飯盛 古谷 擴子 寸 評              […]

第46回入選作品(平成25年5月)

ためらひつつ八十路の面に紅ひきて        鏡の吾に楚楚とほほゑむ 小浜市上野  岡本 澄子 寸 評                          紅をひき、つつましさを兼ね備えた女性としての自分を鏡に写し、凛とした美しさを確かめている作者。豊かな心のありようや来し方が伝わってきます。 中学校では仲良しの友と離れたが        帰宅後電話で話が弾む 小浜市 […]