大塩城址

大塩城址  小浜市の文化財に関係していた頃、教育委員の大森宏さんに随行して教わった、   口田縄集落後方の大光寺山にある城址である。  海抜134mほどの小山であるが、南川渓谷を一望できる戦略要地で、   山麓に城主大塩氏の菩提寺大光寺がある。   付近には、館、館ノ口といった地名も残る。  「口名田村誌」は、寛政6年(1465)若狭守護武田氏被官大塩吉信の築城と、   文明元 […]

6才をはやしうかれて虫おくり

六才をはやしうかれて虫おくり 若衆ぞろひに穂波もうちぬ      『山川登美子全集』より   この短歌は小浜出身で明治時代に活躍した山川登美子の歌です。  生前に発表されず「花のちり塚」と名付けられた帳面に書き残されていました。  夏から秋へと向かうふるさとの情景を詠んだのではないかと思われます。   「六才」は六斎念仏のことでしょう。お盆にお寺や村の家々をまわって、  鉦や太 […]

国宝に見る小浜藩主・酒井忠義

2019年8月発行  五百円紙幣の肖像となった公卿岩倉具視は 明治維新の元勲の一人です。 この具視を、 明治に入っても旧小浜藩士たちは何かと頼っていますが、 最初に深い絆で結ばれたのは十三代小浜藩主の酒井忠義でした。  二度目の京都所司代を務める忠義は、 安政の大獄後の京都で、 具視とともに和宮降嫁による公武合体政策を積極的に推進します。 その関係を深める契機の一つが、 この( […]

若狭の草花

2019年7月発行  若狭の地は海あり川あり山ありで自然に恵まれています。 特にそれを実感するのは山野草が境内だけでも たくさん見ることの出来る春先のことです。 二月中旬からタンバオウレンが咲き始め 続いてキクザキイチゲ、 三月中旬からはショウジョバカマ、イカリソウ、 四月上旬にはイワカガミ。 五月にはフデリンドウ、ギンパイソウ、ササユリと次から次へと咲くのです。 これらの花は […]

象が小浜にやってきた

2019年6月発行    象が小浜にやってきた。今からほぼ六百年前、日本で初めてだ。 スマトラ島(インドネシア)のパレンバンから黒潮と南風(はえ)に乗って、 はるばる小浜に遣って来た。   小浜の人たちはどれほど驚いたことだろう。 意味不明な言葉を話す水夫達、肌の色も服装も異なる異邦人達・・・。 連れている生き物たち・・・。 食べる物も飲む物もすっかり異なっていた。 […]

深緑に映える明神湖

2019年6月発行  明神湖は北川水系・河内川ダムによって実現した人造湖です。 備えあれば憂いなし。北川水系地域は、 これまでに度重なる洪水や異常渇水に見舞われ、 これらへの対応が長年の課題でした。   本格的治水事業は、大正十五年から始まりますが十分とはいえない状況でした。 嶺南出身で初の県人知事であった中川平太夫氏が、 昭和五十八年北川の洪水調節はもとより若狭中核工業団地  […]

王の舞

2019年5月発行  王の舞は、鼻高面をつけ鉾を持って舞う芸能で、 現在、嶺南地方の十六か所十七神社の祭りで演じられています。 若狭地方では「オノマイ」とか「オノマイさん」などと呼ばれています。  王の舞は、獅子舞や田楽などとともに、平安時代末期から鎌倉時代にかけて、 奈良や京の都の祭礼をにぎわしていた芸能です。 平安末期、後白河院の意向により作成されたという 『年中行事絵巻』 […]

関の楊貴妃桜

2019年4月発行 楊貴妃桜は、旧上中町関集落の、花石山福乗寺境内に咲く名木で、 昭和三十六年に町指定の天然記念物となりました。  サトザクラの一種で、例年四月中旬に八重咲きで淡紅色の花を咲かせます。 その名のとおり艶麗そのものであり、在野の植物学者であられた旧三方町の今井長太郎先生が、 「福井県下で最も気品のある桜」と評されました。 樹齢は二百年と言われ、幹の根回りは二m、樹 […]

母・妻・子への愛  人間 佐久間 勉

2019年3月発行 若狭地方に連日降り続く雪の中を、媒酌人の恩師成田鋼太郞氏は京へと向かいました。  明治四十一年正月、平安神宮にて結婚式。  「最高の安らぎと大きな奮発心を与えてくれる女性」と人に語るほど幸せな結婚生活でしたが、 それはわずか一年余りでした。  明治四十二年、妻次子は「女のお子さんですよ」の声を聞いてまもなく還らぬ人となったのです。  「次子の生命を捧げて産み […]

釈宗演禅師について

2019年2月発行 この若狭の地からは、近代のすぐれた禅僧が多く輩出されています。 なかでも去年は、釈宗演禅師の没後百年諱にあたり、 出生地の高浜町では法要や記念行事が行われました。 禅師は江戸末期に生まれ、寺で修行後、仏典の原本を求めてインドや中国などで留学。 三十四歳の若さで鎌倉円覚寺管長に就任。  アメリカで「禅」を「ZEN」として初めて伝え、ルーズベルト大統領と会見。 […]

競技かるたの楽しみ方

2019年2月発行     しんと静まり返った中に朗々と声が流れます。  「難波津に~咲くやこの花冬ごもり~」競技かるたは、 百人一首の下の句が書かれた札を二人で取り合う競技。 上の句が読まれる瞬間に手が走る、 まさに静と動が入り混じった「畳の上の格闘技」。  藤原定家が編集した小倉百人一首の札を競技かるたとして確立したのは、 明治期の多彩な作家で […]

弁財天と己亥

2019年1月発行     今年の干支は己亥(つちのとい)。  豊饒と繁栄をもたらし縁起がよいとされる一方で、 不安定な年まわりから、慎重な行動が求められています。  この絵は、小浜と深いかかわりのある奈良東大寺・上野道善老師の 「清閑」(俗事を離れて清くもの静かなこと)の賛に、七福神の中の紅一点で 妖艶な弁財天が、琵琶を奏でて猪の気持を落ち着かせ […]