2018年7月発行
小浜市国富地区に営巣していた特別天然記念物・コウノトリが、
最後に姿を消したのは昭和四十一年でした。
高度経済成長に伴い、
農業の近代化のもと大型圃場整備や農薬散布などによる、
生息地域の環境悪化が原因とされています。
国富地区では、もう一度昔のように人と生き物が
ともに暮らせる自然豊かな郷をめざし、
平成二十三年五月官民協力により
コウノトリの郷づくり推進会」(通称コウの会)を設立し、
ビオトープや餌場づくり、冬水田んぼなどに取り組んできました。
「コウ」には、コウノトリの「鸛」、しあわせの「幸」、
交流の「交」、農地を耕すの「耕」など複数の意味があります。
また福井県でも、コウノトリの野生復帰と生息域拡大に向け、
越前市白山地区で、飼育・繁殖・放鳥事業を進めています。
今年四月には、豊岡市から借り受けたペアの卵から、雛が誕生しました。
県内で雛が誕生したのは、昭和三十九年小浜市で確認されて以来、
五十四年ぶりです。
このような努力が報われたのか、私たちの国富地区でも
数年前からコウノトリの飛来が目撃されるようになり、
年を追って数が増えています。しかし、活動は道半ばです。
これからも、コウノトリが一年を通じて空を舞う日が来ることを願って、
地道な努力を積み重ねて行きたいと考えています。
豊かな自然環境は貴重な財産で、私たちには
次代の子供達に引き継ぐ責任があります。
コウノトリの郷づくり推進会
会長 宮川 健三