トンボはお好きでしょうか。
子供の頃から赤トンボ、オニヤンマ、ハグロトンボあたりは知っていましたが、
大人になってから図鑑を眺めていて釘付けになったトンボがいました。
それがグンバイトンボです。
何と、オスの脚には花びらのような広がり、
まさに白い軍配がついているのです。
全国的な準絶滅危惧種に指定されており、
見つかると新聞ネタにもなるようなこのトンボをいつか見てみたいと、
四国や中国地方に行くたびに探していましたがなかなか出会えません。
ところがふとしたことから福井県にいることが分かりました。
しかも若狭地方に。それは名田庄の南川流域です。
やや流れがあり岸にツルヨシ等の植物が繁茂する清流に生息するこのトンボは、
名田庄では六月中旬から七月下旬までの短い期間に見ることができます。
細長い体と翅なので、オニヤンマのように豪快に飛翔することはできません。
余り風の強くない晴れた日に川原に降りてみると、
そよ風に漂うタンポポの綿毛のようにフワリ、スーッと移動していきます。
そう、飛んでいるというより移動しているという方が
ピッタリな飛び方で幻想的な気分になります。
初めて出会えたときは、時の過ぎるのを忘れて眺めてしまいました。
今でも残っている清らかな環境。
いつまでも残したいと思う今日この頃です。
日本野鳥の会福井県 会員 平城常雄