小浜藩校順造館の教えに学ぶ

2014年1月発行

藩校の正門・順造門

 第10代小浜藩主酒井忠貫は、

安永3年(1774)これまでの学問所を受け継ぐ形で順造館を創設しました。

県下の藩校では最も古い歴史があります。 


 順造とは、「道に順(したが)って士を造る」という中国の古典を引用しています。

 これは正しい学問を修めることにより、立派な人間をつくるという意味です。


 小浜藩では初代酒井忠勝公以来、儒学を中心とする教育に力を入れてきました。


 儒学は、中国春秋時代の思想家・孔子が唱えた倫理規範を体系化したもので、

自己の倫理観を高め人格の形成に努め、

最高の道徳である仁(他人に対し誠意と寛容の精神で接する人間愛)と

礼(規範)への到達を目指すものです。


 近頃の自己中心的な社会風潮を見るにつけ、

「巧言令色鮮(すくな)し仁」という孔子の言葉を思い出します。

個人、家庭、社会が一体となり今一度「仁」と「礼」の心を思い起こすことにより、

かって日本人が持ち合わせていた自己抑制と他者への思いやりという、

美しい情緒豊かな社会を取り戻したいものです。

小浜市郷土研究会会員 網本 恒治郎