三丁町

三丁町(その一)

小浜市西部地区のさらに西側にある元の茶屋町、

通称「三丁町」は柳町、猟師町、寺町の三つの町があったことから

そう呼ばれました。

通りの長さが三丁(約330m)あったことからという説もあります。

※一丁=約109m

ひときわ狭い通りに、手摺りや出窓が特徴の茶屋形式の建物が並ぶ中に

町家型の建物が入り混じっています。

三丁町を歩いていくと様々なデザインの格子がみられ、

2つと同じものがないといわれています。

散策の際格子のデザインに目を向けて歩くのも楽しみのひとつです。

三丁町(その二)

明治、大正、昭和と続いた三丁町は大正初期には鉄道小浜線工事が完成し、

北前船はじめ他の往来船の小浜湊への出入りが減少し、

それに代わり湊は漁師船に変わっていきました。

三丁町の客層も変化していき、昭和に入り益々漁船が増え、

若狭湾はにぎわい、三丁町も好影響を受けます。

昭和二十四年頃、鯖の漁獲高は二億円に達し、

小浜が鯖景気に沸いていました。

昭和二十四年生まれの私が中学生の頃、

水上勉の原作・若尾文子主演(芸妓役)「波影」の映画撮影が

三丁町と西津の漁港で行われ、友人と見学に行ったのを覚えています。

三丁町(その三)

三丁町は最盛期の頃、茶屋が五十軒程あり芸妓さんも大勢いましたが、

現在は一軒のみ営業しています。※料亭「播磨(はりま)」

明治期に建てられた最大級の旧料亭「蓬(ほう)嶋楼(とうろう)」は

当時の面影を色濃く残す建物で、昭和七年には絵はがきとなり、

若狭小浜のおみやげになりました。

現在も二階には当時の太鼓や三味線が置いてあり、

著名作家の書画も飾られています。

土・日・祝日限定で一般公開しています。ぜひお立ち寄りください。

小浜町並み保存資料館

小浜市小浜鹿島にある『小浜町並み保存資料館』は

小浜西組重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)を紹介する

代表的な建物です。

この建物の建築年代ははっきりしませんが、

聞き取りにより大正期の初めだと考えられます。

間口が狭く奥に長いウナギの寝床といわれる建物で、

当主の安倍長兵衛氏が亡くなった後は空き家となり、

その後、鹿島会館となり、

平成二十九年一月から小浜の資料館となっています。

外観の特徴は平格子、犬矢来、オダレ、戸袋があり、

戸袋には留め金が残っていることから当初はがったりがあったと考えられます。

中に入ると奥まで土間(通り庭)になっており、

その上にはカマド、石の流し、中庭には井戸があり、

通路を挟んで向い側に風呂場(五右衛門風呂)があり、

奥には土蔵があります。部屋は小浜西組の典型的な様式である

ミセノマ、ツギノマ、ナカノマ、オクノマの四間の構造になっています。

ミセノマは竹を使った数寄屋造りで

中央にある柱には花入れを飾ることができる

無双中(むそうなか)釘(くぎ)(釘の先端が引っ込む)を使った

しゃれた作りとなっています。

日常に使用される階段はツギノマにあり、

ふすまで隠された隠し階段となっています。

足を運んでいただいて、当時の生活を感じていただけたらと思います。

小浜西組協議会 石野幸子