鯖の食文化

2018年4月発行

 若狭おばまでは、江戸時代中頃から昭和まで、

大漁の鯖が獲れました。今でも、各家庭や地域で、

鯖の食文化が根付いています。


 中でも焼き鯖は、各地のお祭りで、

赤飯と共に欠かせない食として食べたり、

地域外の親戚に配ったりする文化があります。

小浜市新保区には、「なまぐさ汁」といって、

焼き鯖とネギなど貝をたくさん入れた、すまし汁の伝承料理があります。

名前と異なり、とても美味しい料理です。

 日常の食の代表は、鯖のへしこで、鯖がたくさん獲れた時に加工し、

保存食として、よく食べてきました。

また、小浜では正月頃のご馳走の一つとして、

鯖のなれずしが人気です。他の地域では、

生魚からなれずしを作りますが、小浜では、

へしこから作るのが特徴です。

 また、鯖のぬたは、各家庭の料理のほか、

講料理などでも登場します。この他、鯖ずしや近年人気の焼き鯖ずし、

大きな身が入った缶詰、醤油干しなども人気です。

 かつては、海沿いの各家で作られてきた、

へしこやなれずしは、作る手間などから、

購入されるようになりましたが、今でも若狭を代表する味の一つです。

鯖の食文化はこれからも、受け継いでいきたい若狭の誇れる食文化です。

御食国若狭おばま食文化館 学芸員 一矢典子