2018年4月発行
明治四十三年四月十五日、殉難後の遺品整理の中で発見された、
小さな黒表紙にしたためられた「佐久間艇長遺言」
「小官ノ不注意ニヨリ
陛下ノ艇ヲ沈メ部下ヲ殺ス誠ニ申訳無シ、
サレド艇員一同死ニ至ルマデ
皆ヨクソノ職ヲ守リ沈着ニ事ニ処セリ・・・・・・・」
この一字、一行、一文には沈着にして冷静、
しかも最後まで最善を尽くした佐久間勉精神が躍如として輝いている。
沈着冷静にして、しかも質実剛健の思想は
決して一朝一夕にして培われたものではなく
一冊・一冊丁寧に筆写された教科書の一字・一行を目にするとき、
佐久間勉艇長の中学校時代からの
質素・倹約と質実剛健の精神を旨とした修行の積み重ねの表れと思う。
今、小・中学生には教科書は無償にて与えられている。
物質的に恵まれた今の子供たちに
この筆写された教科書を是非手にして
質素・倹約と質実剛健の精神を学んでほしいものである。
吉田久吉