散歩道 台場浜公園

2014年5月発行

 小浜市川崎の若狭小浜お魚センターの手前に台場浜公園がある。

四月末、真っ赤な花を隙間なくつけた霧島つつじの見事さに惹かれ、

公園内に入ると随分広い公園だった。

 昭和五十八年に建立された立派な小浜漁港開港記念碑と

昭和六十二年に建立された若州世阿弥記念碑等があった。

世阿弥の石碑は大きくて、綺麗な自然石を数段積み上げた上に建てられている。

縦約七十センチ、横約ニメートルの堂々とした一枚石の石碑で、

 『世阿弥船出の地 雪花庵光月書』

と見事に彫り上げられている。

簡にして要を得た建立の経緯が扇面の大理石に彫られ下方に置かれている。

能楽の大成者世阿弥は永享六年佐渡に
 赴く途次五月五日若州小浜に宿し暫し
 風待ちし順風を得てここ津田の入江より
 船出し佐渡に渡った 後年世阿弥は佐渡に
 おいて八篇の小謡を創りて金島書を成し
 若州と題してこの地を謡っている
 このたび世阿弥の遺業を偲ぶ者船出の地を
 懐かしむ地元の有志が発願し広く浄財を募して
 ここに碑を建立した世阿弥の遺業を讃え
 史跡船出之地の認識を計っての建碑である
 船出の日を慮り五月の佳き日に除幕し題字は
 若州在住能楽師武田小兵衛が揮毫した
  昭和六十二年五月
  若州世阿弥記念碑建立会

 ライブができる大きなステージも園内にある。

公園の中に植え込まれた数種類の落葉樹の若葉の美しさ。

四、五日前に来たときは、食べたいような柔らかい小さな葉が、

もう萌黄色の二、三センチのしっかりした若葉になっている。

 広い遊び場で球技に興じる中学生、滑り台で遊ぶ園児の明るい声、

幼児達を見ていると飽きない。樹々を吹き抜けてくる爽やかな風、

樹木や花から移りゆく季節の流れが感じとれる。

台場公園の由来も道路沿いにきちんと書かれている。

それぞれの視点で楽しみながら散策できる公園である。   

若狭読書会会員 白石惠子