十二月といえば、クリスマスなどのイベントで
ワクワクすることが多いのではないでしょうか。
しかし、禅宗の道場で修行する雲水(修行僧)にとって、
できれば避けて通りたいのが十二月です。
十二月一日から八日の早朝にかけて、
寝ずに坐禅をし続けるという恐怖のイベントがあるからです。
臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)と呼ばれる修行です。
世間がクリスマスカラーに彩られる頃、
修行道場では灰色の一週間が始まるのです。
これは、お釈迦様が十二月一日から坐禅を始めて
八日目の朝に悟りを得られたことに由来しています。
このときお釈迦様が体得された真理が、
仏教の教えの原点です。今日わたしたちが仏教の恩恵に浴しているのは、
この日があればこそなのです。
十二月八日は、お釈迦様が悟りを開かれたことに感謝して
お祝いをする法要が行われます。これを成道会(じょうどうえ)といいます。
寝ずに坐り続けた修行僧たちも、最後の力をふり絞ってお勤めをします。
十二月八日は成道会の日。是非とも心に留めておきたいものです。
キリストの誕生日よりも、われわれにとってアニバーサリーな日なのです。
瑞雲院 原澤良玄