杉田玄白ゆかりの水不動~小浜市大谷字小沢寺(おおそうじ)(宮川地区)~

安永三年(一七七四)、小浜藩医杉田玄白・中川淳庵らにより、

解体新書が刊行され今年で二百五十年です。

日本の近代医学の扉を拓いた功績は計り知れないものがあります。

これを記念して、今年七月に県立若狭歴史博物館において、

小浜藩医杉田玄白の挑戦―『解体新書』刊行二百五十年―が開催されます。

普段見ることができない、貴重な資料が展示されるので必見です。

玄白は、小浜藩医の父甫仙の国元詰めに伴い、

八歳から十三歳まで小浜で過ごしました。

小浜市大谷字小沢寺(宮川地区の一番奥まったところ)にある霊峰山全光寺は、

大聖不動明王の霊場と知られ、

昭和の初め頃までもろもろの病、

諸願成就を願って滝で身禊ぎが行われたため、

別名「滝不動」とも呼ばれています。

滝が流れ落ちる岩肌に、苔むした水不動の石像が鎮座しています。

これは、玄白が幼少の頃病弱であったため、

その健康回復を祈願して父が奉納したものです。

また、ここの霊水を飲ませて養生させたとも伝わります。

このお陰でしょうか、

玄白は当時としては希な八十五歳の長寿を全うしました。

                           若狭の語り部 網本恒治郎