2014年1月発行
雑煮は日本の正月にはどの家庭でも作っているが、
家によってその作り方に違いがあり、その土地の豊かな食材を使ったり
地域産物を用いたりして、地方色が良く表れて興味深い。
関東は切り餅を焼いて使うのに対して、関西は丸餅をそのまま使う違いがある。
東京の雑煮は澄まし汁仕立てが多く、関西・四国・九州は味噌仕立てが多いとのこと。
昔の書物には餅・豆腐・芋・大根・青菜・鰹等を入れると良いと書かれ、
京都では必ず里芋を入れ、大阪は味噌仕立てで里芋・焼き豆腐・大根で、
お椀は外が黒、内側が朱塗りの物を用いると書いてある。
現在一般に行われている雑煮には、芹・三つ葉・大根・蕪・人参などに
鶏肉を加えたものが多いようだ。その他、
蒸雑煮・海苔雑煮・粕汁雑煮・みぞれ雑煮など
ローカルカラーと風味豊かな雑煮もあって味覚が一層深まりそうだ。
今回、国連ユネスコの無形文化財に「和食」の登録が決まったことで、
「食のまちづくり」に取り組んできた小浜市にとって、
豊かな食材を活かし地域の味を工夫した新しい「小浜の雑煮」が
誕生するかもしれない。
円明寺住職 笹川真照