若狭 しおのみち〈2〉

 海水から塩を得る方法には、採鹹さいかん(濃縮)・煎熬せんごう(煮沸)・焼塩(潮解を防ぐ)

 の三工程の作業が必要でした。そのうち煎熬の工程と、

 焼塩の工程で土器を使用します。土器製塩は、

 濃縮した海水を入れた土器を土坑どこう(砂上)炉・石敷炉などの上に並べ、

 塩水を注ぎながら小枝や炭を燃料にして、

 煮沸させることで塩の結晶を得るものです。

 製塩と焼塩に用いた製塩土器は、

 列島各地の産地でそれぞれ特色のある形態をしています。

 内陸部から出土する製塩土器は、基本的に焼塩に使った土器で、

 塩を入れたまま運搬容器として利用されている場合が多いのです。

 六連式(むつれしき・山口県)製塩土器のように、

 焼塩専用土器が作られていた地方もあります。 

                    関西大学 講師 博士(文学) 入江文敏