2013年1月発行
千利休が茶道の大切な心得として、
上手には好きと器用と功績むと
この三つ揃う人ぞ能くしる
と三つのことを歌に託している。茶の道を上達するためには、先ずは好きであること、
次に器用であること、そして繰り返し繰り返し怠ることなく、
精進を重ねることの三つが大切だというのである。
この中で器用というのは、生まれつきもらってきたもので授かった力といえよう。
好きとか嫌いということも、生まれつきもあるだろうが、
好きであると自然にそのことに積極的に取り組むようになり、繰り返すほど上達していき、
興味も湧き面白くなっていくから一層好きになっていくことになる。
反面嫌いなことは逃げてやらないから、
益々下手になり一層嫌いになるという悪循環となってしまう。
それならばと心を奮い立たせ、嫌いなもの不得意なものほど、
「好きになってみせるぞ!」と積極的に取り組み、諦めずに精進し続ければ、
自ずから上達していき、だんだんと興味が湧き楽しくなり好きになっていくというのでる。
たとえ折角生まれつきの授かりの力があろうとも、
やる気をもって精進しなければ力となり得ないというのである。
円明寺住職 笹川 真照