彼岸の原型

2012年9月発行

彼岸とは、シルクロードを経て伝わった、死後の楽園を願う考え方に基づいている。

先日私は六本木ヒルズで「古代エジプト展」を観た。

大英博物館(イギリス)から運ばれた、全三十七メートルの

世界最長の『死者の書』が日本初公開だったからだ。

それは今から三千年ほど前に、冥福を祈り死者とともに埋葬された葬祭文書。

植物に絵と文字で、死後の楽園に行くまでの道しるべが描かれている。

日本の彼岸や四十九日などと、あまりに似ているのに驚愕した。


彼岸は、大昔から世界中で続けられてきた、死者の安楽への願い。

またそのためにはどう生きるべきかを問い続けているのだろう。

海岸寺住職 石崎靖宗