幼との楽しみ遊ぶを眼うらにあやとりの紐幾すじを編む
小浜市雲浜 塩谷 トミ子
寸 評
作者はボランティアで子ども達に昔からの伝承あそびのあやとりを教えて一緒に遊ばれるのです。「あやとりの紐幾すじを編む」の下句にある種の憧れと期待感がうかがわれます。成功を祈ります。
来る人も出でゆくもなし雪の日は新聞配る足跡のこる
小浜市和多田 宇多 蔚乃
寸 評
今年は二十八年ぶりの大雪でした。雪の日の山里は深閑と静まりかえっています。「新聞配る足跡のこる」この取り合わせに一層の寂寥感が表現されました。
携帯の電話にたしかむ夕暮れに声にて診断母九十七
小浜市生守 佐野 鈴子
寸 評
母を案ずる歌携帯電話の奧より届く声の善し悪しにより母上様の体調を推しはかっている作者。母上様は九十七歳というご高齢。お大事に。
大般若経僧侶四人の声高く大寒の本堂を貫ぬきていく
おおい町岡田 堀口 寿々喜
寸 評
大般若経の点読風景と思われます。大般若の点読は特別大きな声に、その上特殊な抑揚があり四人の僧侶の声が大寒の空気を震わせて本堂を貫いていく。誠に臨場感のある歌。