海水から塩を得る方法には、採鹹(濃縮)・煎熬(煮沸)・焼塩(潮解を防ぐ)
の三工程の作業が必要でした。そのうち煎熬の工程と、
焼塩の工程で土器を使用します。土器製塩は、
濃縮した海水を入れた土器を土坑(砂上)炉・石敷炉などの上に並べ、
塩水を注ぎながら小枝や炭を燃料にして、
煮沸させることで塩の結晶を得るものです。
製塩と焼塩に用いた製塩土器は、
列島各地の産地でそれぞれ特色のある形態をしています。
内陸部から出土する製塩土器は、基本的に焼塩に使った土器で、
塩を入れたまま運搬容器として利用されている場合が多いのです。
六連式(むつれしき・山口県)製塩土器のように、
焼塩専用土器が作られていた地方もあります。
関西大学 講師 博士(文学) 入江文敏