2019年2月発行
この若狭の地からは、近代のすぐれた禅僧が多く輩出されています。
なかでも去年は、釈宗演禅師の没後百年諱にあたり、
出生地の高浜町では法要や記念行事が行われました。
禅師は江戸末期に生まれ、寺で修行後、仏典の原本を求めてインドや中国などで留学。
三十四歳の若さで鎌倉円覚寺管長に就任。
アメリカで「禅」を「ZEN」として初めて伝え、ルーズベルト大統領と会見。
禅師のことは今日でも『広辞苑』に、その名が出るほど有名です。
若き禅師は福澤諭吉から英語を学び、後には夏目漱石を指導されます。
漱石の小説『門』に出てくる僧は禅師がモデルです。
漱石は以前千円札に載りましたね。福澤諭吉は一万円札。
禅師はその間の方として五千円札の顔として出たら、いっそう親しみがわくことでしょう。
海岸寺住職 石崎靖宗