弁財天と己亥

2019年1月発行

    今年の干支は己亥(つちのとい)。

 豊饒と繁栄をもたらし縁起がよいとされる一方で、

不安定な年まわりから、慎重な行動が求められています。

 この絵は、小浜と深いかかわりのある奈良東大寺・上野道善老師の

「清閑」(俗事を離れて清くもの静かなこと)の賛に、七福神の中の紅一点で

妖艶な弁財天が、琵琶を奏でて猪の気持を落ち着かせ、

目的に向かって進むようにと説得している姿が

長谷川等伯の末裔・仲春洋画伯によって描かれています。

弁財天は、無尽の智恵、財宝、延命を与えさらに邪気など

人を惑わすものを取り除くといわれています。

 平成の次の新しい時代の幕開けを迎えるに当たって、

その描かれた絵の意味を深くかみしめ、これからの教訓としたいものです。

若狭の語り部 網本 恒治郎