衿正し心経となふ朝夕の
吾の習はし百寿の今日も
小浜市広峰 橋本 ハル子
寸評
心の糧として心経を誦える日々。迎えた百寿の今日も淡々と日課をこなされている。
作者の穏やかで平和な日常が感じられます。
友の詠みし想ひも深き姑の歌
今宵静かに和紙にしたたむ
小浜市雲浜 奥城 芙美代
寸評
作者が友の姑の歌に深く感じ入ったことが下の句から読みとれます。
その歌を筆で書きしるす至福のひととき、夜の静寂が伝わってきます。
いかなるも感謝の気持ち忘るなと
友に教はり辛きを乗り切る
小浜市遠敷池田 山本 保子
寸評
友の言葉は、儘ならぬ世を幸せに生きる為の教訓ですね。
これからもその心を大切に苦難を乗り切ってほしいと思います。
ふくいくと梅の香かおる畑に来て
亡夫手植ゑし姿偲ばる
小浜市阿納 広田 みさを
寸評
作者の住む里は梅の産地。畑に立てば梅の香りに包まれ、昔日が
悲しいまでに懐かしく思われるのです。夫への挽歌である。
児童館に小さき頃より来たる子らの
靴はそれぞれ大きくなりぬ
小浜市堅海 柿本 恵美子
寸評
作者は永年児童館に勤めている。靴に着眼したところに作者の
感性があり、児らへのやさしい愛情が感じられる。
【 撰 池田 和栄 】
【 撰 谷口 正枝 】