千二百年の時空を経て

2017年1月発行

三方石観音の鶏の石像

 今年の干支は酉(鶏)。

酉は古代中国では、収穫した作物から酒を醸す

口の細い器(象形文字)のことで、酒の元の字。

成熟した状態のことを意味します。

また、酉は明け方に鳴き、新年も一番に鳴くため縁起が良いとされています。


 弘法大師一夜の作で有名な三方の石観世音菩薩は、

右手先がない片手観音ですが、

これは、大師が制作中に夜明けを知らせる鶏の鳴き声が聞こえたので、

作業を止め下山されたためです。

手足の不自由な人をはじめ諸病に霊験あらたかと、

全国から参詣者が絶えません。

その夜明けを告げたと伝わる鶏の石像が、

本殿前の苔むした岩(妙法石)の上に鎮座しています。


 昨年は色々と暗い話題が多かった年でしたが、

千二百年の時空を経て、

新しい年の希望に満ちた夜明けの第一声、

「初鶏」を皆さんは聴かれたでしょうか。

小浜市郷土研究会 網本恒治郎