瑞雲飛龍

2016年2月発行

小浜漁港に係留されている雲龍丸

 平成二十七年三月、

小浜水産高校は若狭高校との統合により、

百十九年の歴史に幕を閉じました。同時に、

シンボルであった第六代目実習船「雲龍丸」も役目を終え、

その雄姿に寂寥感を漂わせながら小浜漁港に係留されています。

雲龍という名は、中国の故事「瑞雲飛龍」に由来し、

紫の雲が湧き立ち龍がこれに乗って天空を駆け巡るという〃吉兆〃を意味しています。


 小浜漁港一帯は、食文化館を中心に「海の駅」として整備が進められており、

船名に吉兆を戴く雲龍丸を、ミュージアムや社会教育施設として活用し、

有機的連携を図れば相乗効果により、

賑わいが創出されるものと思われます。

規模や知名度は異なりますが、

戦前戦後を通じ大型貨客船として活躍した氷川丸は横浜港に、

昭和四十年から十八年間にわたって南極観測に携わった砕氷艦ふじは

名古屋港に係留保存され、多くの人々に親しまれています。


 海あっての小浜、水産あっての若狭です。

雲龍丸は、同校OBをはじめ小浜市民の思い出が一杯詰まった、

かけがえのない歴史遺産です。費用対効果という一面からのみではなく、

幅広い分野からの有効な活用策が待たれています。

小浜市郷土研究会 会員 網本恒治郎