旧町名は語る(一)

2015年6月発行

表記の題名で平成十年頃、福井新聞文化欄に連載される企画があった。

敦賀編武生編等の一つの小浜編を

当時語り部の活動をされていた伊藤一樹さんが担当されていたが、

体調不良で私に交代を求められ引き継いだ。

小浜編(七)までが伊藤さんで、以後(十四)までを私が担当した。

明治初年の小浜(旧小浜)は五十二町(東組十八町、中組十七町、西組十七町)に

分けられ、それぞれの町名を持っていた。

明治六年新町設置の改変が行われ、近世以来の町は解体、

旧小浜五十二町は二十四町となり、

町名は全国著名の神社名が冠せられ現在に続いている。


 この旧五十二町について郷土研究家・故柴田伊左衛門さんが

「小浜五十二町ひろい歩き」という冊子を残されており、

貴重な文献である。「旧町名は語る」はこの柴田文がなければ書けなかった。

ふと、その中の八幡小路が思い出され、

この小文をそれで始めてみたい気がし、以下に続ける。


 西宮前町三十五戸、中小路三十二戸、八幡小路二十七戸の

九十四戸が明治七年男山町となり、同二十二年大字となる。

八幡神社があり、男山八幡に倣った区名といわれている。

句誌「ほととぎす」同人 森田 昇