2015年1月発行
開国を迫る外国の圧力や、社会の混乱による不安が日本中に広がった幕末期、
数多くの志士たちが尊皇攘夷を国の未来のためと信じ奔走しました。
そのような彼らが指導者として仰いだのが、小浜藩出身の梅田雲濱先生です。
政権を朝廷に戻し攘夷を貫く信念のもと、
尊皇運動に身命をささげ安政の大獄(安政五年・一八五八)で真っ先に捕らえられ、
翌年無念の死を遂げられた梅田雲濱先生の今年は生誕二百年です。
没後八年が過ぎた慶応三年(一八六七)十二月、
江戸幕府を廃絶し天皇のもとに新政府の樹立を宣言する、
王政復古の大号令が発せられました。
明治という新しい日本建設への扉を開くまさしくさきがけとなられたのです。
山縣有朋をして、「もし雲濱先生が生きながらえておられたなら、
日本の首領として仰がれていただろう」と、言わしめています。
先生は、双葉のころから文武ともに優れ、
「大人になれば天朝様のために尽したい」と大志を抱いておられました。
歳月の流れとともに、その名や事蹟を知る人はごく稀になりました。
生誕二百年を期に、現代に生きる私たちは先生がめざされた大義や生き様を
歴史の教訓として学ぶことも大事ではないでしょうか。
小浜市郷土研究会会員 網本恒治郎