ほととぎすの夜半にも鳴くを知り
眠れぬ床にたまたま聞きて
堅海 領家 公子
寸 評
時鳥(ほととぎす)は夏鳥、夜半に醒(さ)めていたら鳴いたと言う。時鳥は
鳴き方に特徴があるのですぐに分かる。読者である私も始めて知りました。
祈りとふテーマ掲げて華道家の
す向日葵はなべて上向く
青井 竹村 祐美子
寸 評
華道家は名前を聞かなくても前野博紀さんの華だとすぐ分かる。それ 程有名、豪快さを挿す向日葵で「上を向いて挿す」ここに着眼した作 者は華道家を確実な眼で捉えている。
墓経に玉の汗おく若き僧に
そっと日傘をさし掛けてをり
遠敷 青木 哲子
寸 評
猛暑の中での墓経は厳しいことです。作者は僧の玉の汗をみて、そっ
と日傘 を差しかけた。作者の若い僧に対しての労(ねぎら)いの気持ちが 伝わります。
みんみんと泣いているのか蝉たちは
たった六日の命は短いと
新小松原 船井 真愛
寸 評
作者はせみの一生(ひとよ)のはかなさを「たった六日の命」と詠(よ)んでいます。蝉はは かないものの代表みたいですね。作者は小学六年生と 添書きがありました。立派です。続けてやって下さい。
名月は世の災(わざわ)ひを包むごと
手延ぶれば届く光降らせり
竜前 辻 彌生
寸 評
仲秋の名月が近づいて来ました。月を眺めている間は、つらい事や心配ごと は忘れてしまします。下句手延べば…に光り渡る月光・美しい月夜を想像し ています。
【寸評 池田和栄】