小浜には何故寺が多いのか その(一)

今や人口二万八千となった小浜市ですが、

無住寺を含め百三十三の寺が存在します。

宗別に見ると以下の通りです。黄檗宗を除く総ての宗が揃っています。

天台宗・五、真言宗・八、浄土宗・四、臨済宗・二十八、

曹洞宗・五十二、日蓮宗・十六、浄土真宗・十六、時宗・四

寺を支えている檀家制度(寺請制度)は、江戸時代に始まります。

一寺を支える檀家数にはばらつきがあるものの、

小浜は総じてその数は少ない。

そのような状況で、寺数が多いのは何故か。

一番の理由は、小浜が日本海側にあって、

良港だったことでしょう。

地理的には、日本海側にあって、

奈良京都に最も近い場所だったのです。

大陸の文化などは、小浜という玄関口を経由して、

都に届けられました。戦に無縁だったのでしょう、

勅願寺や東大寺の荘園等があります。

海外との交流は、国内の交易も盛んにします。

廻船業者も出現し、莫大な利益を生み出しています。

板子一枚下は地獄の生活は、信仰心を高めたかもしれません。

鎮護国家を標榜した真言宗寺院は、

朝廷の庇護を受け、自前の学寮を以て布教に励んだ曹洞宗は、

生活維持のため多くの寺院を建てたとも考えられます。

海での儲けは、寺に寄進されたでしょう。

青井の入り江にかたまる時宗に至っては、

遊行で集めた情報を利用したとも考えられます。

こうしたことが、寺の数が多い原因ではないでしょうか。 

                         (治游)