もう何十年も昔のことですが、
家族が病気になると祖母が「お百度参りをする」といって、
近くの河原で拾った平たい小石をお社の回りに投げながら
神社にお参りし病気治癒を祈願していました。
困ったときの神頼みは太古の昔からの習わしです。
今のように医療制度が十分でなく救急車もなかった時代、
お百度参りは祖母にできる唯一のことだったのでしょう。
もう十年近くご無沙汰している友人に、
私が病気療養中であることを知らせたところ、
「毎日、百枚の葉書を出すことにしました」とのご返事があり、
郵便配達のない土日を除いて毎日葉書が届くようになりました。
お百度参りならぬ「お百度葉書」です。一枚一枚に、
気持ちのこもった励ましの言葉が記されています。
雨の日も雪の日もあるなかでのお百度参りを百日続けることもたいへんですが、
百日も毎日葉書を書き続けることはもっとたいへんで、
自分にはとてもできないことだと感謝しながらポストから葉書を取り出しています。
池河内 川畑哲夫