オベリスク姿勢

この夏、おしりをピンと立てて止まっているトンボをいくつか見た。

福井出身のトンボ博士 和田茂樹 氏に伺うと、

これはトンボの「オベリスク姿勢」というらしい。

 オベリスクとは「多くは四角形の断面をもち、上方に向かって徐々に狭まった、

高く長い直立の石柱」のことで古代エジプトから

古代ローマ時代に広場などによく作られた記念碑である。

(写真例 フランスのコンコルド広場にあるクレオパトラの針)

 和田博士によると、トンボは暑くなるとできるだけ

直射日光を受ける面積を小さくするため、

尾を太陽に向けて止まる習性があるのだそうだ。

 確かに、この夏は暑かった。8月、福井新聞に記事が出ていた。

(掲載日時やタイトルは記憶にない)

「トンボが尾を立てて止まっていたら熱中症に注意」という内容であった。

和田博士に話を聞いた後だっただけに釘付けになった。

トンボが暑さを感じるのが先か、

人間が感じるのが先か?

暑さはトンボを見なくても分かる気がしたが、

どんなに暑くても「トンボよ、おまえもか」と

共感できる心のゆとりは持っていたい。

          日本野鳥の会福井県 会員 平城常雄