シャクヤク(Paeonia lactiflora)の花言葉は「恥じらい」で、
妖精が過ちを犯した不面目を恥じて、
西洋シャクヤクの陰に隠れたら花が赤くなったという
イギリスの伝説に基づいています。
このような赤花の咲く株の根は
概してやや赤みを帯び(赤芍(セキシャク)という)、
白花株の根は真っ白に干しあがります(白芍(ハクシャク))。
いずれも鎮痛・鎮痙(ケイ)、収斂(レン)、緩和作用などがあり、
漢方では女性の生理不調などからくる下腹部のつっぱりや痛みをとり、
血管の働きを順調にする働きがあるとされています。
例えば、当帰芍薬散は古来より産前産後の薬として有名ですし、
四物湯は更年期障害などの婦人病疾患に対する
基本処方とも呼べる方剤です。
また芍薬甘草湯は服用後5分ほどで
「こむら返り」の酷い痛みが解消される“魔法のようなお薬”ですね。
欧米人はカラフルなものを「良い」「好き」と感じるのに対して、
日本人は潜在意識の中で白いものを
「高貴」「貴重」と感じる民族とされています。
芍薬についても例外ではなく、
中国では効能によって使い分けていますが、
日本では「白芍」が主に使用されています。
薬草園では奈良県で古くから維持されてきた
薬用の白花シャクヤク「梵天(ボンテン)」という品種を栽培しています。
小浜病院薬草園管理アドバイザー 渡辺 斉