若狭しおのみち(3)

若狭全域で製塩土器が出土する遺跡は、

生産遺跡と律令期の役所や寺院などの消費遺跡を中心に、

七〇か所以上確認されています。

製塩遺跡は、古墳時代の浜禰(はまね)遺跡・宮留遺跡(おおい町大島)、岡津(おこづ)遺跡(小浜市岡津)、奈良時代の船岡遺跡(おおい町本郷)

などが、

若狭を代表する遺跡です。

古墳時代・律令期の若狭で生産された塩は、

若狭で需要する量をはるかに超えています。

古墳時代前期(四世紀後半)の土器製塩導入期から後期前半(六世紀前半)

までは、

大阪湾南岸地帯(大阪府淡(たん)輪(のわ))と連動して

製塩土器・炉の形態変化をとげていきます。

このことは、操業当初から倭王権(大和政権)に塩を搬出する目的で、

まず浜禰(はまね)遺跡に技術移入がなされ、

若狭各地で増産させていったことがわかります。

                 関西大学 講師 博士(文学) 入江文敏