月のうさぎ

 今年はうさぎ年ですね。日本では、

月の模様がうさぎに見えるから「月にはうさぎがいる」と言われます。

さて、昔々…うさぎ、さる、きつねの三匹が、

衰弱した老人に会いました。三匹は老人に食料を与えようと、

さるは木の実を集め、きつねは川から魚を捕りました。

 うさぎは何とか老人を助けたいと思いましたが、

小さく力のない自分は何もできず、悩んでしまいます。

考えたあげく、さるときつねに頼んで火を焚いてもらい…、

そしてなんと、その火の中へ飛び込びます。

自らを食料にしてもらう為に。その様子を見ていた老人の正体は、

変身していた帝釈天(守護神)でした。

帝釈天は、うさぎの捨て身の慈悲行を後世まで伝えるため、

うさぎを月へと昇らせましたとさ。(『ジャータカ』という仏教説話)

 私利私欲を捨てて、世のため人のために尽くすということにつながる、

現代に通じるお話です。

                         おおい町 海岸寺住職 石崎 靖宗