2013年1月発行
全国的に昔より行われている正月習慣に、
雑煮を食べ屠蘇酒を飲み一年中の邪気を避けるという風習がある。
その屠蘇酒は昔、中国の三国時代(二〇〇年ごろ)魏の国に、
華陀という外科医の名医がいて「屠蘇散」を初めて造り、
曹武帝に献上した事から始まったと伝えられている。
我が国でこの屠蘇を飲む風習は、
宮中の元旦儀式として嵯峨天皇の弘仁年間(八一〇~八二四)に始められ、
一人がこれを飲むと一家に病気をする者が無く、
一家でこれを飲むと、集落全体で病気をする者がいなくなると言う、
大変めでたい効能があるものだから、
年の初めに飲むことによって悪いことが起こらないように、
又は不老長寿の効があるというので飲むようになったということである。
屠蘇の意味は、鬼気や邪気を屠絶し、人の魂を蘇生するということで、
屠蘇は山椒・肉桂・桔梗・防風などの薬草を三・〇グラムずつを
この屠絶の屠と、蘇生の蘇を取って「屠蘇」というのである。
細かく刻み味醂に浸すと特有の芳香を放ち芳醇な味となり、
子供や婦人でも飲めるようになるという。
円明寺住職 笹川 真照