「煩悩」とは一体何でしょうか。
煩悩とは、欲望に執着することによって生まれる苦しみのことです。
仏教では、煩脳を捨てれば苦しみは無くなると教えています。
しかし、欲望はそんなに悪いものでしょうか。
例えば今より高い生活水準を望んだり、
異性に憧れたりしてはいけないのでしょうか。
決してそんなことはありません。
欲望に執着することによって、人間は努力をします。
ですから裏を返せば、煩悩は生きるためのエネルギーだとも言えるのです。
さて、マンガでは、いやいや掃除をしていた小僧さんが、
きれいな女性に褒められたとたん、
俄然やる気を出します。
きれいな女性からもっと注目されたい!これが煩悩です。
しかし、その煩悩が掃除に対するモチベーションに繋がりました。
たとえ動機は不純(?)でも、
掃除に真剣に取り組むことそれ自体が小僧さんを成長させてくれることでしょう
(もちろんお寺もきれいになります)。
欲望があるから人は自分をもっと高めようとします。
欲によって苦しみもしますが、
苦しみを乗り越えようとまた努力します。
欲望・執着(=煩悩)があるからこそ、人間は成長するのだとも言えるのです。
「菩提」とは悟りのこと。「煩悩即菩提」とは、
煩悩と悟りとはコインの裏表みたいなものだよ、という意味です。
悟りの境地にまで達しなくとも、
煩悩をうまくコントロールすれば人として成長し、
よりよい人生が開けるはずです。
瑞雲院住職 原澤良玄