西津浜の夕陽

                         写真提供 小浜市役所広報

西津というと漁港が頭に浮かぶ。

その海には近くの山々から来た栄養豊富な川が三本流れ込む。

漁港の南側には砂地の残る西津浜がある。

数年前に「ちりとてちん」というドラマの中でのあるシーンの撮影場所であった。

例えば夏場に海水浴場となるような垢ぬけた砂浜ではない。

打ち寄せてはスーっと引いていく波が、砂浜に木切れやごみをたくさん置いていく。

水際から数メートル、様々の海浜植物に出会える。

初夏には浜昼顔、小さな心臓型の葉を砂地に這わせているし、バラの花と見まがう

ハマナスの赤い花に会うこともできる。

あたり一帯には浜大根の淡い花が咲いている。

海の荒れた日の翌日には、貝殻拾いも楽しめる。

小浜湾は久須夜ヶ岳がそびえる内外半島と、大島半島に囲まれて湖のようである。

そして運が良ければ、

海の向こうの大島半島に輝きながら沈んでいく夕陽を見ることができる。

太陽と自分とが紫や青、黄色と水面に結ばれたような感覚を

一瞬だが経験することができる。

春から夏には正面に沈んでいた太陽が、

秋から冬には南の方に毎日少しずつずれていく。

そしてこの西津浜は夏、西津小学校五、六年生の水泳大会が行われ、

さらに南側には水産高校もあった貴重な砂浜である。      

        久子

                                   人魚の浜写真提供 吉村油店