2012年5月発行
春うららかな南川沿いの堤防を散歩していると、菜の花の色あざやかな黄色が目に飛び込んできます。先日行われた若狭マラソンも、この菜の花にちなんで別名「菜の花マラソン」と呼ばれています。
若狭マラソンは、嶺南出身の故中川知事が福井マラソンに匹敵する大会を若狭でも開こうと呼びかけ、小浜市をはじめ当時の上中町、大飯町などが運営委員会をつくり昭和56年に置県百年を記念して始まり、今年で32回を数えました。今回も県内外から2890人余りが参加し、すっかり若狭路の春の風物詩として定着しています。
今では県内各地でそれぞれの特色を取り入れたマラソン大会が開らかれ、若狭マラソンも発足当初とは異なり、共催の町が運営委員会から離脱したのを受け、小浜市はOBAMA若狭マラソンとして伝統を守っています。これも時代の流れと受け止めなければならないのでしょうか。
ところで、菜の花といえば♪菜の花畠に入日薄れ、見渡す山の端霞深し、春風そよ吹く空を見れば、夕月かかりて匂い淡し♪の文部省唱歌・朧月夜(作詩 高野辰之 作曲岡野貞一)が自然と口をついて出てきます。ちなみに、小浜小学校の校歌も高野辰之博士の作詩によるものです。
歌は世のつれ、世は歌につれと申しますが、古き良き時代の素晴らしい歌が現在はほとんど教科書にはないそうです。最近の言葉の乱れが気になる年頃ですが、日本の美しい詩と旋律や先人の心は時代を超えて受け継いでいきたいものです。
若狭の語り部会員 網本 恒治郎