2011年12月発行
私が、東京からこの地に移り、小浜に住みはじめて十六年目になります。
はじめは、この景色、山野草の豊かなことに心惹かれていましたが、今は、多くの親しい友人が私のなによりの心の宝と思っています。
そして、絵を描く私を最もおどろかせるものは若狭の魚たちです。
まずトビ魚。その背の鮮やかな「青」に心臓が止まるかと思いました。
まるで絵の具をそのままのせたような、色、そして腹の白、つぶらな大きな黒い目、なんと何と美しいことかと・・・夢中で描きまくりました。
漁師である絵を描く友人、又近くの友人が、描いたらよいと届けてくれるまだはねているような、海からあがったばかりの魚たち。その種類の多いこと、色、形の美しいこと、私を魅了して止みません。
その友人たちの心も嬉しく、ほぼ年中、描いてはおりますが、まだまだ思うように描けず、魚たちにすまないと思う毎日であります。
(画家 藤田京子)