2016年12月発行
寒くなるにつれて夜空の星が美しく見えますね。
宇宙が何でできているかを調べてみると、
われわれが知っている、
原子や陽子や中性子など目に見える（観測されている）物質は
全体の約五パーセントにすぎないそうです。
残りは未知の物質「暗黒物質（ダークマター）」が二七パーセント、
「暗黒の力（ダークエネルギー）」が六八パーセント。
暗黒は悪いという意味ではなく目に見えないということです。
目には見えないけれど、確かにそこにある謎の存在。不思議ですね。
ところで私たちはよかれと思ってした行為を、
心のどこかで「誰かに褒められたい」と感じてしまう、
それは自然な感情でしょう。しかし、
たとえ感謝されることがなかったとしても、
気にすることはありません。私たちは日々、
さまざまな支えの中で生活しています。そこには、
誰のおかげかが明確で、
本人にお礼を言うことができることもあれば、
自分ではそれと気づかないところで
誰かのお世話になっている場合もあるはずです。
しかも宇宙のように、
お礼が言えるのはほんの一部だけで
気づいていないほうがはるかに多いのです。
ダークエネルギーが無ければ、
銀河星雲はまとまりを失って塵尻に分散してしまうと言われています。
私が見ず知らずの、大いなる不思議な力に支えられて、
私を私たらしめてくれます。しかもそれは何ら見返りを求めていません。
同じように自分も見返りを期待せず、
謙虚に感謝し続ける生き方にこそ、真の安心と幸せが現れるのです。
海岸寺住職 石崎 靖宗