
二〇二一年、五七年ぶりに小浜市太良庄でコウノトリが営巣し雛が巣立って以来、
四年連続で繁殖が成功した。二〇二三年、
小浜市からの依頼があり
コウノトリの採餌場調査(どこでどんな餌を捕っているか)に係わることができた。
この調査で特に感じたことは、
コウノトリの生活には想像を遙かに超える量の餌が必要であること。
そしてその餌となるドジョウやカエル・オタマジャクシ・昆虫などが、
これまた驚くほど豊かにこの小浜の地に生存しているということだ。
それでも専門家に言わせると、
もっと餌があればコウノトリは冬もこの地を離れないそうだ。
農薬を使えば、手間も掛からず収量も増える。
高齢化と若い担い手不足に悩む農家。
それでも重労働につながる有機農法や減農薬での農業に
取り組んでおられる方も多いと聞く。頭が下がる。
コウノトリだけが大切な訳ではない。
コウノトリがしっかり生きるということは、
そこに様々な生き物が生きていける環境があるということ。
子ども達には、こんな命がつながる場所で生活して欲しいと願うのは
私だけではなかろう。
コウノトリ。白く大きく目につく鳥。
その羽の向こうにこの国の未来が透けて見える。
日本野鳥の会福井県 会員 平城常雄