京都に『みなとや幽霊子育飴本舗』(東山区松原通大和大路入る轆轤町)と云う
創業五百年にもなる飴屋がある。
このお店の名物は『幽霊子育飴』と云う飴である。
お店の伝承によれば「毎晩閉店後に飴を買いに来る女性がおり、
不審に思いある時後をつけると墓場で女性の姿が消え
赤ん坊の泣き声が聞こえて来た。
慌てて墓を掘り起こすと赤ん坊は飴を口に生き延びていた」と云う。
この話からこの店の名物になったそうである。
昔の人の母が子を思う愛情を表す話の一つであろうか。
実はこの様な話は全国に幾つも存在し、
身近な所では京都の日蓮宗本山立本寺の二十世日審上人、
法華宗真門流総本山本隆寺の七世日脩上人の出生に纏わる伝承がある。
何故身近かと云うと日審上人は小浜酒井の長源寺の十三世、
日脩上人は小浜竜田の本境寺の四世である。
現代の人からすると在りえない話と云う事になるかも知れないが
大切な伝承伝説として伝えていきたいものである。
. 本山本境寺 谷川日康