2011年8月発行
平素は毎日の生活に追われて、亡き先祖のご供養を疎かにしがちですが、お盆を前にしてお墓の清掃をしたり、家の仏壇には先祖の精霊をお迎えして供養するための「精霊棚」を設けてお飾りをする準備をします。
古来から若狭地方のしきたりとして、八月十三日には、先祖の精霊をお迎えするために真菰を敷き、精霊が来られる仕切り「結界」となる麻幹(オガラ)に「みそはぎ・ソウメン・ホオズキ・粟や稲の穂」などを吊るします。霊座と呼ばれる真菰のゴザにお位牌・三具足(向かって右に蝋燭立・中央に香炉・左に花立)を配し、御供え物として蓮の葉に数滴の水を垂らした「閼伽水」を供え、季節の初物の野菜果物類・馬と牛を形どったナスとキュウリに麻幹の足をつけてお供えとします。準備が整った十三日の夕刻には盆提灯に灯をともし、玄関先で麻幹を燃やす「迎え火の中、お寺から精霊を一家で揃って迎えます。
十四日には家に迎えた精霊に、お寺さんに棚経をあげて戴き、十五日には『盂蘭盆経』の中に説かれている目連尊者が仏の導きによって、その母親を地獄の苦しみから救うことができたという伝説に基づいての「施餓鬼」が行われます。家族揃って深い感謝と報恩の心を捧げ、先祖の供養をするお盆行事です。
その後、近くの川や海では「お精霊船」にお供え物を乗せ読経の中お精霊さんをお送りします。
(小浜市甲ヶ崎や美浜の精霊船送りは古来特に有名です)
(円明寺住職 笹川真照)