第68回(令和3年春の部)入選作品


なつかしき西津の浜でおさな子が何か語りて波とたわむれる     

                              濱内 和子

【寸 評】

久しぶりに「ふるさと」を訪れた作者の気持ちが「浜辺の幼子の姿」と共にここちよく伝わってきます。「ふるさと」は、本当に懐かしく温かいですね。


新聞の入賞欄に孫の名を見つけ祝いのラインすぐ打つ      

                            福田 眞由美

【寸 評】 

思いがけず新聞紙上で受賞者の欄にお孫さんの名前を見つけたおばあさまの嬉しそうな顔が浮かんできます。おばあさまのお祝いの気持ちは、すぐラインで届けられお孫さんもどんなに嬉しかったでしょう。


鍵盤は白と黒との二色でも奏でる音色絵の具のごとく   

                             松崎 太

【寸 評】

白と黒のたった二色の鍵盤が奏でる音色はさまざまの音が交ざり、美しいメロディーとなって響いてくるのですね。感性豊かな楽しい歌となりました。


声そろえボート漕ぐ音リズミカル練習場は南川なり

                          松崎 暉子

【寸 評】

いつもは流れ静かな南川ですが掛け声を揃えボートを漕ぐリズミカルな音がにぎやかです。晴ればれとして元気に溢れた気持ちよいお歌です。


 便箋はほのかにミカンの香して無事を知らせる便りが届く  

                                                                                                     内田 あき子

【寸 評】

お手紙が届いた時の心のときめきが伝わってきます。急いで開封すると、みかんの香がして、無事を知らせる嬉しい便りだったのですね。深い心づかいが読者を引きつけます。


寸評 加納 暢子