第51回入選作品(平成26年冬の部)

仁王像にらみし口の開きたる
       弥陀を守りて今声上げむ

おおい町岡田 堀口 寿々喜

寸評

仁王像の鋭い形相がわかりやすくうたわれ臨場感のある作品。
着眼がよく、第四句から作者の深い信仰の心がよみとれます。


部活動これから始まる新体制
            心を一つに深まる絆

小浜中学校二年 畠中 茉耶

寸評

副部長となってクラブをまとめていくことになった作者の思いが続句
「深まる絆」にあらわれています。新鮮な心持ちが感じられる作品です。


山里の日は早や暮れむ菩提寺の
          撞く梵鐘の余韻はながく

小浜市中井 近者 綾子

寸評

今も昔も変わらぬ山里の景が彷彿として、心地よさを感じさせて
くれます。ゆったりとした詠みふりが情感をひき出して、
日本の原風景そのものをあらわしています。


秋の夜の漁り火に映える沖の石
        棚田キャンドル月も微笑む

小浜市宇久 浦谷 俊明

寸評

深い闇に鎮む沖の石や棚田が、光で浮かびあがった響宴を
エネルギッシュにリズムよく詠まれました。下の句の
「月も微笑む」によってこの一首にやさしさが加味され情感が出ました。


土深く鍬を入れをり堀り上ぐる
           子芋の出来は去年より太く

小浜市和久里 岩本 和子

寸評

初句から二句にわけての具象が良く、現状がよく見えます。
下の句より作者の収穫の喜びが感じられ、明るい作品となっています。


【 撰 谷口 正枝 】