大船絵馬

2017年3月発行

松尾寺に奉納された大船絵馬

西国二十九番札所の松尾寺は青葉山の南側中腹に位する。

同寺は唐の僧・威光上人の開基、

若狭松尾寺と呼ばれたとも伝えられ、

若狭の人々の厚い信仰の対象でもある。


 弘化三年(一八四六)、小浜の廻船問屋志水源兵衛、

船頭吉次郎らが航海の安全を祈願して大船絵馬を奉納した。

大阪の船絵馬師の杉本春乗清舟が描いた、

縦八二センチ、横一八三センチの大船絵馬には、

伊勢丸・般若丸・長久丸・久福丸・住吉丸など

一一隻の北前船が描かれている。

船上では船頭や水主が働き、帆は風をはらみ、

左上には住吉大社が描かれている(仏にも神にも祈願)。


 船絵馬は、一、二隻描かれるのが普通で、

十隻以上のものは大変珍しく、

京都府はこの絵馬の複製を作り、

府立京丹後郷土資料館(宮津市)で展示している。 

                                (嘉)