上野区、信仰深き村に残る伝統行事「ゆみのこと」

上野区(松永地区)お地蔵様

「ゆみのこと」とは、日ごろ休む暇なく家事、

農業に追われるお嫁さんの一年に一度の慰労の日。

その内容は、おしゃべりしてゆっくりと一日を過ごすもの。

時期は農閑期。お嫁に来た順番で五人位のグループを作るのですが、

十人位に増えると分かれていくことも。

分かれていく時以外、グループの構成は変わらないのが原則。

  昔はグループ内の各家持ち回り。朝八時位に集まり、

皆で簡単なお昼ごはんを作り、夜ごはんも。

夜はちょっぴり?お酒も。

また、宿に迷惑がかからないように、

各自、家から食器やお米を持っての参加だったそうです。

 また、子ども達は「人間隠し」という遊びに興じ、

  こたつ布団や、こたつ掛毛布の中に隠れじっとしていて、

  上から触って誰なのかをあてるなどして楽しい時間を過ごしました。

その間、宿の家人は、気を使って外出していたとか。

町屋と違い、広い座敷もある村の家なので

そういうことも出来たのでしょう。

  時を経て、現在は、

区の集会所でお嫁さんだけで実施しているそうで、

お昼も夜もパック料理に様変わり。

おしゃべりの内容は、

サル害から話題の社会事件や芸能ネタまで幅広く。

でも、ここの中で話したことは、お口にチャックです。

些細なことでも、話すうちに、励まし励まされ、

ストレス解消となり明日の活力になるのだとか。

  「ここは上も下もなく、穏やかで住みやすい村。

村中の人に、大人も子どもも育てて貰える自慢のむら。」

そう話す皆さんの穏やかな笑顔に安堵しました。

                                                    坂田聖子