エンゼルライン開通五十周年

 小浜市街地から仰ぐ霊峰久須夜ケ岳(六一九m)は、

市民にとって多田ケ岳とともにシンボル的存在です。

古来から神が宿る山として崇められ、

天満神社(千種二丁目)の縁起には延喜四年(九〇一)二月十三日

久須夜ケ岳から千種の森に霊光来たり、

あたかも月の出づる如くなりしを以て「雲月宮」の称ありと伝えられています。

 このような霊験あらたかな山に、昭和四十七年七月県企業局によって

有料道路エンゼルラインが開通しました。

現在は無料で来年五十周年を迎えます。

神の領域に立ち入ることに異論もありましたが、

観光立県を目指す中川平太夫知事(当時)の英断により、

三方五湖レインボーライン(昭和四十三年五月開通)に続いて完成をみました。

 令和六年(二〇二四)春の北陸新幹線敦賀開業を迎えるにあたって、

観光インフラとしてその価値は計り知れないものが有ります。

山頂からは、見はるかす若狭湾の右手に越前岬、

左手には丹後半島の絶景が望まれ、

振り返れば波静かな小浜湾が横たわっています。

訪れる人にとって、心癒される天空がそこにあります。   

                       若狭の語り部 網本 恒治郎